こんにちは、「自己破産ドットコム」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
「自己破産するとNISAで積み立ててきたお金も没収されるの?」
「新NISAなら非課税制度だから、自己破産しても残せる?」
将来のためにコツコツと積立投資をしている方にとって、自己破産によってNISAの資産がどうなるのかは非常に気になる問題でしょう。
結論からいうと、旧積立NISAや新NISAで保有している株式・投資信託も、原則として自己破産における「財産」に
含まれます。
NISAは資産を非課税にする制度ではなく、株式や投資信託から生じる一定の運用益などを非課税にする制度だからです。金融庁も、NISAについて、通常は課税される株式や投資信託の売却益・配当等が非課税になる制度と説明しています。
ただし、NISAに資産があるからといって、必ずすべて処分されるとは限りません。
この記事では自己破産した場合の旧積立NISA・新NISAの扱い、どのくらいなら残せる可能性があるのか、破産前に売却してもよいのかなどについて司法書士の久我山左近が詳しく解説いたします。
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自己破産では積立NISAも新NISAも原則として「財産」として扱われます。


自己破産するとNISAはどうなる?
自己破産すると、一定以上の価値がある財産は原則として換価され、債権者への配当に充てられます。
破産法第34条では、破産手続開始時に破産者が所有している財産は、原則として破産財団に属するとされています。
したがって、
- 預貯金
- 株式
- 投資信託
- 自動車
- 不動産
- 解約返戻金のある生命保険
などと同じように、NISA口座で保有している株式や投資信託についても財産として申告する必要があります。
「NISAだから破産しても保護される」というわけではありません。
旧積立NISAも新NISAも基本的な考え方は同じ
2024年から新NISAがスタートしましたが、2023年までに旧積立NISAで購入した商品を現在も保有している方も多いでしょう。金融庁によると、旧積立NISAで保有している商品は、新NISAとは別枠で管理され、従来の非課税措置を受けながら保有を続けることができます。
しかし、自己破産における財産の考え方については、旧積立NISAだから残せる、新NISAだから処分されるといった違いがあるわけではありません。
どちらも実際には投資信託や株式などの金融資産を保有しているため、その価値が問題になります。
NISAはいくらまでなら残せる?
ここが一番気になるところでしょう。
よく、「20万円以下なら自己破産しても残せる」という説明を目にします。しかし、「NISAなら全国どこの裁判所でも20万円まで残せる」という法律上のルールがあるわけではありません。
自己破産における少額財産の換価基準や自由財産拡張の運用は、裁判所によって異なる場合があります。
そのため、「NISAが19万円だから絶対に大丈夫」「20万円を1円でも超えたら全部没収される」という単純な判断はできません。
実際にどこまで財産を残せるのかについては、申立てを行う裁判所の運用や他の財産の状況なども含めて判断する必要があります。
「99万円まで残せる」はNISAにも適用される?
自己破産について調べると、「99万円まで財産を残せる」という情報を見かけることがあります。
ここは誤解しやすいポイントです。
破産法第34条では、一定額の金銭(現金)を破産財団に属しない財産として定めています。
つまり、「NISAで99万円持っていても、そのまま全部残せる」という意味ではありません。
NISAで保有している投資信託や株式は「現金」と同じ扱いではないためです。「99万円以下だからNISAも大丈夫」と
自己判断しないようにしましょう。
具体例でNISAの扱いを考えてみよう
たとえば、新NISAで投資信託を積み立てている方がいるとします。
購入した金額が50万円で、値上がりして現在の評価額が60万円になっているケースを考えてみましょう。
この場合、「自分が積み立てた50万円だけが財産になる」という考え方ではありません。
投資信託は価格が変動する金融商品です。金融庁も、株式や投資信託などには元本割れの可能性があり、価格が変動する金融商品であることを説明しています。
そのため、破産手続では保有している金融商品のその時点での評価額・換価価値が重要になります。
たとえば、
| NISAへの投資額 | 現在の評価額 | 基本的な考え方 |
|---|
| 10万円 | 12万円 | 少額財産として残せる可能性あり |
| 20万円 | 18万円 | 裁判所の運用により残せる可能性あり |
| 30万円 | 45万円 | 換価対象となる可能性あり |
| 100万円 | 150万円 | 原則として換価を検討される財産 |
※実際の取扱いは裁判所の運用、他の財産、自由財産拡張などによって異なります。
特にNISAは相場によって評価額が変わるため、申立ての準備をしている間にも資産価値が上下する可能性があります。
NISAだけでなく他の財産も確認される
自己破産ではNISAだけを見て判断するわけではありません。
たとえば、
- 普通預金・定期預金
- NISA以外の証券口座
- 株式・投資信託
- 暗号資産
- 生命保険の解約返戻金
- 自動車
- 不動産
- 退職金に関する権利
- 手元の現金
など、さまざまな財産を確認します。
そのため、「NISAが20万円以下なら同時廃止になる」と単純に判断することもできません。
NISA以外に高額な財産があれば、管財事件になる可能性があります。
自己破産する前にNISAを売却してもいい?
「それなら破産を申し立てる前にNISAを売ってしまえばいいのでは?」と考える方もいるでしょう。
NISAの商品を売却すること自体が直ちに禁止されているわけではありません。
金融庁の制度上もNISAの商品は売却可能で、新NISAでは売却した商品の簿価分について翌年以降に非課税保有限度額を再利用できる仕組みがあります。しかし、自己破産直前の売却には注意が必要です。
売却したからといって財産が消えるわけではありません。100万円の投資信託を売却して銀行口座に100万円が入れば、今度は預金として存在します。さらに、そのお金を家族に渡したり、財産を隠したり、一部の債権者だけに返済したりすると、破産手続上の問題になる可能性があります。
したがって、自己破産を検討している段階では、専門家に相談せずにNISAを解約して大きなお金を動かすことは避けたほうが安全です。
自己破産するとNISA口座自体も使えなくなる?
「自己破産するとNISAが一生できなくなるのでは?」と心配する方もいます。
しかし、自己破産したことを理由として、将来にわたってNISA制度を利用できなくなるわけではありません。
現在のNISAは、原則として日本国内に住む一定年齢以上の人が利用できる制度で、金融庁が案内する口座開設要件にも「過去に自己破産していないこと」といった条件は示されていません。そのため、破産手続によってそれまで保有していたNISA商品が換価されたとしても、自己破産後に改めて資産形成を始めることは可能です。
ただし、破産手続中に新たに積極的な投資を行う場合には、家計状況や管財人との関係もありますので、専門家に確認してから行うことをおすすめします。
NISAを持っている場合は必ず申告しよう
自己破産を申し立てる際に最も避けなければならないのが、「NISAならバレないだろう」と考えて申告しないことです。NISAも本人が所有する財産です。破産法上、破産手続開始時に所有する財産は原則として破産財団に属します。
したがって、NISAを含む証券口座についても正確に申告することが大切です。「少額だから書かなくてもいいだろう」と自己判断するのではなく、少額であっても専門家に伝えておきましょう。最終的に換価するかどうかと、財産として申告する必要があるかどうかは別の問題です。
まとめ|NISAがあっても自己破産はできる
旧積立NISAや新NISAを利用していても、自己破産することは可能です。ただし、NISAは「非課税だから自己破産でも守られる財産」というわけではありません。
NISA口座で保有している投資信託や株式も本人の財産ですので、一定以上の価値があれば換価される可能性があります。
一方で、少額のNISAまで必ず処分されるとは限りません。裁判所の運用や他の財産の状況などによっては、手元に残せる可能性もあります。
また、よくいわれる「99万円まで残せる」というルールは基本的に現金についてのものであり、NISAの商品が99万円まで当然に保護されるという意味ではありません。
自己破産を検討している方がNISAを保有している場合は、破産申立ての直前に慌てて売却するのではなく、現在の評価額や他の財産を確認したうえで、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが重要です。
NISAを保有していることを理由に自己破産を諦める必要はありません。
借金の返済が難しくなっているのであれば、NISAをどう処理するかだけではなく、任意整理・個人再生・自己破産のうち、どの方法が現在の状況に適しているのかを含めて検討しましょう。
今回のブログ「自己破産で積立NISA・新NISAはどう扱われる?詳しく解説します!」のテーマの解説は以上に
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それでは、司法書士の久我山左近でした!












