こんにちは、「自己破産ドットコム」のコラムを執筆している司法書士の久我山左近です。
個人再生は、借金の総額を約5分の1に減額することを裁判所に認めてもらい、その減額した借金を3年間で返済して解決する手続きです。大きな借金の減額効果がある個人再生ですが、その個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類の手続きがあります。
今回の自己破産ドットコムのコラムでは、個人再生の「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つの手続きについて、どっちを選択した方がいいのかを司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。
今回の記事は借金で悩んでいる方にとって、とても有益な内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。
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小規模個人再生と給与所得者等再生にはメリットデメリットがあります。
「個人再生」の制度の中には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類の手続きがあります。それぞれの手続きにメリットとデメリットがあります。
今回のコラムでは、個人再生の「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つの手続きについて、どっちを選択した方がいいのかを債務整理に詳しい司法書士がわかりやすく解説いたします。
個人再生の手続きは2種類、その違いを解説します。
まずは個人再生の制度について基本的なことを説明いたします。
- 借金の返済が厳しくなった人が利用できる救済制度の一つです。
- 裁判所から認めてもらうことで借金が約5分の1に減額されます。
- 減額した借金を原則3年間の返済で借金問題が解決できます。
「民事再生法」には個人再生について「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類の手続きがあります。
小規模個人再生
実務において個人再生の手続きは小規模個人再生を選択するのが基本になります。実際に個人再生をしている人のほとんどが小規模個人再生を選択しています。
その理由は、小規模個人再生のほうが借金をたくさん減額できるからです。個人再生を検討する一番の理由は、借金返済を楽にするということなので、借金の減額幅が大きい小規模個人再生を選ぶのは当然の結果になります。
小規模個人再生を選択するメリットとデメリット
メリット | デメリット |
借金が基本的に約5分の1に減額できます。 | 貸主の過半数と債権額の過半数の「消極的同意」が必要。 |
小規模個人再生は借金を減額できる幅が大きいのですが、貸主の数の半数または借金総額の半額分以上の貸主が反対すると個人再生の許可が下りなくなります。ただし、実務的には反対する債権者はほとんどいませんので、多くのケースはこの小規模個人再生を選択いたします。
給与所得者等再生
給与所得者等再生は、小規模個人再生のなかの特則として位置付けられている制度になります。給与所得者という名前の通りで、会社員が利用できる制度になりますが、実は会社員でも小規模個人再生を利用することが可能です。
ですから、実務的には小規模個人再生を検討し、それが難しければ給与所得者等再生を検討するのがセオリーになります。
給与所得者等再生を選択するメリットとデメリット
メリット | デメリット |
貸主の同意が不要。 | 借金は可処分所得の2年分までしか減額されません。 |
「可処分所得」とは、給与やボーナスから税金や社会保険料などを差し引いた残りの手取り収入になります。要するに、自分の意思で使うことができる金額という意味になります。
小規模個人再生で500万円ある借金が100万円まで減額されるケースでも、給与所得者等再生だと1年間の可処分所得が200万円ある場合には、その2年分なので400万円までしか減額できないことになります。
給与所得者等再生が使える人の条件を解説します。
小規模個人再生が難しい場合には、給与所得者等再生を検討することになります。ただし、給与所得者等再生にも利用の条件があります。小規模個人再生にプラスした条件とは、「安定した収入があり、その変動幅が小さいこと」と「過去7年以内に給与所得者再生やハードシップ免責を利用していないこと」の2つがあります。
ハードシップ免責とは、個人再生の手続き後に、やむを得ない事情で計画どおりに返済できなくなった場合でも、総額の4分の3以上の返済が終わっていれば特別に残債を免除される手続きになります。
給与所得者等再生を選択すべきケースを解説します。
個人再生の2つの種類を比べたときに有利なのは小規模個人再生になります。ただし、以下のケースでは小規模個人再生が許可されないので給与所得者等再生を選択することになります。
貸主の半分以上が反対している場合
個人再生の手続きが始まると、裁判所が貸主に対して「この再生計画案を認めますか?」と問い合わせをいたします。もし貸主のうち半数以上が「反対」と回答すると、小規模個人再生は許可されなくなります。
大手の貸金業者は基本的に個人再生に反対することはありませんが、中には個人再生に反対してくる業者もいます。ただし、反対する業者は最初から決まっていますので、そういった反対する業者がいる場合には給与所得者等再生を選択することになります。
反対した貸主の総貸出額が半額を上回っている場合
同じように、借金の総額の半額を上回る貸主が「反対」と回答した場合も小規模個人再生は許可されなくなります。ですから、借金の総額が大きな1社が反対すれば許可されないことになります。こういったケースも、貸主の許可がいらない給与所得者等再生を選択することになります。
給与所得者等再生で借金はどれだけ減る?
最後に、給与所得者等再生を利用してどのくらい借金が減るのかをシミュレーションをいたします。
借金総額:500万円(A社100万円・B社200万円・C社300万円)
- ご自身の可処分所得額:100万円(×2年分=200万円)
- 今回の個人再生の最低弁済額:100万円
- 自己破産した場合に清算される財産:マイカーの売却額150万円
給与所得者等再生を利用するには、「可処分所得額の2年分」「最低弁済額」「清算価値保障」のもっとも高い金額を基準に再生計画案を立てることになりますので、最低でも可処分所得額の2年分の200万円以上の再生計画案を提出しないと裁判所から許可されません。
小規模個人再生は可処分所得額が考慮されませんので、最低弁済額の100万円まで減額される可能性があります。つまり、給与所得者等再生の場合と比べると100万円も負担が軽くなる可能性があります。
それぞれの手続きの減額する差を考えると、月々の返済額は小規模個人再生の方が約2万8千円程度も軽い負担で済むことになりますので、この差はかなり大きいと思います。
どうでしょうか、今回のコラム「個人再生は「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」どっちを選ぶ?」のテーマの解説は以上になります。
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それでは、久我山左近でした。