自己破産をしたら自動車はどうなる?自動車を残せるケースを解説!

自己破産ドットコム

こんにちは、「自己破産ドットコム」のコラムを執筆している司法書士の久我山左近です。

自己破産は、ご自身の財産を処分する代わりにすべての借金を帳消しにすることを裁判所に認めてもらう手続きです。ですから基本的にご自身が所有している自動車も処分の対象になりますが、必ず自動車が処分されるわけではなく自動車をお手元に残せる場合があります。

今回の自己破産ドットコムのコラムでは、自己破産での自動車の取り扱いについて、また自動車を残すことができるケースについて司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。

今回の記事は借金で悩んでいる方にとって、とても有益な内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。

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自己破産でも自動車を処分しなくてもいいケースを司法書士が解説します。

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借金の返済が厳しくなって債務整理を検討するにあたって、毎日の通勤などで使用している自動車を売却しなければならないのでしょうか?自動車の取り扱いは債務整理を考えている方にとってとっても重要な問題になります。

今回のコラムでは、自己破産での自動車の取り扱いについて、また自動車を残すことができるケースについて司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。

自己破産の手続きで自動車はどうなる?

まず、自己破産の手続きで自動車ローンが残っている場合についてですが、その自動車ローンがディーラー系のローンなのか、銀行系のマイカーローンなのかによって取り扱いが異なります。

ディーラー系のローンでは、自動車を購入したディーラー経由でローン会社と契約を結ぶ自動車ローンのことです。この場合には自動車ローンを完済するまではローン会社が自動車の所有権を持っています。このような契約のことを「所有権留保特約」といいます。

この所有権留保特約がなされている場合に車検証を見ると所有者の欄にはローン会社の名前が記載されています。ただし、軽自動車の場合などで所有者欄にあなたの名前が記載されていても、ローン契約書に所有権留保特約があれば、所有者はローン会社ということになります。

このように所有権留保特約の場合に、自己破産の申し立てをするとローン会社が自動車を引き揚げられてしまいます。自動車ローンが完済されるまでの期間は自動車の所有者はローン会社になりますので、ローン会社からすれば自分の物を返してもらうのは当たり前ということになります。

銀行系のマイカーローンの場合は、基本的には所有権留保特約が付くことはありませんので、銀行に自動車を引き揚げられてしまうということはありません。

また、もともと現金一括で購入した自動車の場合や、自動車ローンをすでに完済している場合、自動車ローンは残っているが所有権留保特約が付いていない場合には、自己破産の手続きによって自動車を処分しなければならないのかが問題になります。

自己破産の手続きで自動車が処分の対象になる場合

自己破産とは、裁判所に申し立てを行い、ご自身の財産を処分する代わりに借金のすべてを免除してもらう手続きです。

もっとも、本当にすべての財産が処分されてしまうと借金はなくなっても、手続き後に生活をしていくことが難しくなってしまいます。特に地方などにお住まいで自動車がないと仕事や買い物に支障がある場合には、これを処分されてしまうと今後の生活を立て直すことが難しくなります。

そのため、破産法などの法律によって自己破産をしても手放さなくてよい財産がかなり広く決められています。自己破産をしても手放さなくてよい財産のことを「自由財産」といいます。

自由財産の範囲は各裁判所の運用上で拡張されていて、例を挙げると東京地方裁判所の場合には、処分の見込み額が20万円以下の自動車は、自由財産とみなされて処分する必要がありません。

自動車の処分の見込み額とは、実際に売却した場合にいくらで売れるかという金額のことです。実際に売却した場合にいくらで売れるかについては、中古車の買取店で査定するのがもっとも確実です。ご自身の自動車を中古車の買取店で査定してもらい、査定書に記載された金額が自動車の処分の見込み額になります。

この金額が20万円以下であれば、自己破産の手続きでも自動車を売却する必要はありません。高級車に乗っているのであれば、これを売却して債権者に分配しなければなりませんが、生活の足としての自動車であれば持っていても大丈夫ということです。

なお、各裁判所で運用に違いはありますが、減価償却期間を経過した自動車やバイクについては、処分の見込み額をゼロにしてもいいという運用がされています。減価償却期間が経過した自動車であれば、中古車の買取店などで自動車の査定書を出してもらう必要もありません。

減価償却期間は以下のとおりです。

  • 普通乗用自動車:6年
  • 軽自動車:4年
  • バイク:3年

高級車を所有している場合の対処法

自己破産の手続きにおいては、自動車の処分の見込み額によって売却が必要かどうかが決まります。もし、処分の見込み額が20万円を超える自動車を所有していて自己破産を検討しているのであれば、自己破産の申し立ての前に現在所有している自動車を売却して時価20万円以下の自動車に買い直すという選択肢もあります。

例を挙げて考えてみましょう。仮に処分の見込み額が100万円の自動車と現金を10万円所有していたとします。このときに何も工夫をせずに自己破産の申し立てをすると、自動車は売却されて代金の100万円は原則として全額債権者に配当されてしまいますので、ご自身のお手元には10万円の現金しか残りません。

しかし、自己破産の前に自動車を売却した場合には、手持ちの現金が110万円になりますが、このうちの99万円は自由財産として自己破産をしても所有することが認められるため、債権者に配当されるのは11万円だけで、ご自身のお手元には99万円が残ることになります。この残った金額で自己破産後に他の自動車を購入するという方法もあります。

このように自己破産の申し立て前にどのような準備を行うかによって結果は大きく違ってきます。結論になりますが、自己破産の手続きではご自身の自動車の価値が20万円以下であればご自身のお手元に残すことが可能です。また、これは実務的な話しになりますが、それ以外にも自動車を残せる方法がない訳ではありませんので、ぜひ自己破産の経験が豊富な当事務所にお気軽にお問い合わせください。

その他の債務整理の方法で自動車の売却は必要?

債務整理の方法には、自己破産以外にも任意整理と個人再生の2つの手続きがあります。それぞれの手続きでの自動車の取り扱いについて解説いたします。

任意整理での自動車の取り扱いについて

任意整理は、相手の貸金業者とそれぞれ交渉をおこない将来利息のカットや分割払い回数の変更によって月々の返済額を減らしてスムーズな借金の完済を目指していく手続きです。

任意整理は、自己破産や個人再生と異なり裁判所を通さずに各業者と直接交渉を行っていくもので、ご自身の財産を処分しなければならないといった条件はありません。仮に、所有権留保特約付きの自動車ローンがある場合でも、そのローン会社を任意整理の手続きから外すことで、自動車をご自身のお手元に残すことが可能です。

個人再生での自動車の取り扱いについて

個人再生は裁判所に申し立てをおこない、ご自身の借金を約5分の1と大幅に減額してもらう手続きのことです。自己破産と違って減額された後の借金については、原則3年かけて返済していくことになりますが、その代わりに自動車や生命保険といったご自身の財産を手放す必要がありません。

ですから、個人再生の手続きでは自動車についても売却の必要はありません。ただし、個人再生の手続きは任意整理と違ってすべての借金が対象になり自動車ローンを外すといったことはできませんので、所有権留保特約付きの自動車ローンが残っている場合には、自動車はローン会社に引き揚げられてしまいますのでご注意ください。

どうでしょうか、今回のコラム「自己破産をしたら自動車はどうなる?自動車を残せるケースを解説!」のテーマの解説は以上になります。

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それでは、久我山左近でした。

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