偏頗弁済とは?自己破産における偏頗弁済のリスクについて解説!

自己破産ドットコム

こんにちは、「自己破産ドットコム」のコラムを執筆している司法書士の久我山左近です。

借金の返済が難しくなって自己破産を検討していても、どうしても友人からの借金だけは返済したい、自動車を手放したくないので自動車ローンだけは返済していきたい、といった気持ちがある方はとても多くいらっしゃいます。

しかし、自己破産の手続きはすべての借金が対象になりますので、自動車ローンを除いて、その他の借金のみを自己破産することは出来ません。また、友人からの借金だけを返済することは偏頗弁済(へんぱべんさい)という行為で、自己破産の手続きで借金の免責が受けられなくなる免責不許可事由に該当いたしますので、友人からの借金だけを返済することは出来ません。

今回の自己破産ドットコムのコラムでは、自己破産の手続きでの偏頗弁済のリスクについて、また偏頗弁済にならない支払いについても司法書士の久我山左近が詳しく解説いたします。

今回の記事は借金で悩んでいる方にとって、とても有益な内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。

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目次

自己破産の免責不許可事由に当たる偏頗行為を詳しく解説します。

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インターネット上の情報を見ていると、自己破産をする前に一部の人にだけ返済したらダメと書いてあることが多いのですが、実際にはどうなのでしょうか?

確かに自己破産や個人再生などの手続きでは、すべての債権者を平等に扱う必要がありますので、特定の人にだけ借金を返すような行為は偏頗弁済といわれて禁止されています。

今回の記事では偏頗弁済を含めた偏頗行為について、司法書士の久我山左近が詳しく解説いたします。

偏頗弁済とは特定の債権者を優先して返済することです。

偏頗弁済とは、いろんな債権者からお金を借りてるケースで、一部の債権者だけを優先して返済する行為になります。

自己破産には債権者平等の原則があるため偏頗弁済は禁止されています。

自己破産の手続きにおいては、債権者平等の原則というルールがあり、複数の債権者(お金を貸している人)がいる場合には、すべての債権者を平等に扱わなくてはならないという決まりがあります。

自己破産では、申し立てた時にしている借金すべてが平等に手続きの対象になり、いろいろな債権者に対し借り入れしている借金が同じように免除されます。それなのに、その手続きの前に一部の債権者にだけお金を返済をしていたら他の債権者は納得できませんよね。

自己破産をする時は、債権者を平等に扱わないといけないというルールを債権者平等の原則といいます。

一部の債権者に返済したり担保を供与することが偏頗弁済(行為)にあたります。

自己破産の手続きでは、実際にお金を返す行為の偏頗弁済だけでなく、担保として自分の財産を供与する行為についても偏頗行為と見なされます。

偏頗弁済にあたる可能性のある支払いの具体例

それでは、どんな行為が偏頗行為とみなされる可能性があるか、具体例をあげて解説いたします。

親族や知人への借金の返済

自己破産やでは、すべての借金が免除の対象になります。もちろん貸金業者から借りたお金だけでなく、親族や知人から借りたお金も自己破産で免除の対象になります。
親族や知人への借金だけは返済したいと考えて、優先して返済するのは当然に偏頗弁済と見なされてしまいます。

スマホや携帯電話の料金の支払い

具体的には以下の2つのケースで偏頗行為と見なされる可能性があります。

  1. 滞納していた通信料金などを支払った場合
  2. 分割購入したスマホ本体の代金を支払った場合

滞納していた通信料金に関しては未払いの料金なので、他の借金と同じような取り扱いになります。また、分割払いで購入したスマホ本体の場合は、携帯会社に対してローンを組んでいるようなイメージになります。
自己破産の手続きの最中に支払ってしまうと、他の借金よりも携帯電話のローンを優先したと判断される恐れがあります。しかし、現代の携帯電話は生活必需品と見なされて偏頗弁済にあたらない可能性もあります。
通信料の滞納分だけでなく、スマホ本体の代金でも常識的な金額の範囲内であればほとんど問題にならないケースがほとんどです。もしご不安がある場合は当事務所の無料相談でお気軽にお問い合わせください。

自動車のローンの返済

自己破産の手続き中に、自動車を手放したくないという理由から自動車のローンだけを支払うことは、当たり前ですが偏頗弁済に当たります。なお、自動車ローンの場合は所有権留保が付いているケースがほとんどなので、自己破産の手続きを取ると、自動車はローン会社に引き揚げられてしまいます。

滞納していた家賃の支払い

自己破産の手続き開始前に滞納していた家賃は、実は他の借金と同様に免除の対象になります。なので、自己破産の手続き中に滞納していた家賃を返済してしまうと偏頗行為と見なされてしまう可能性があります。ただし、実務上は滞納分の家賃の支払いは生活に必要な支出とみなされて偏頗行為にあたらないケースがほとんどになります。もしご不安がある場合は当事務所の無料相談でお気軽にお問い合わせください。

偏頗行為にあたらない支払いを詳しく解説します。

ここからは、自己破産の手続き中におこなっても偏頗行為にあたらない支払いについて解説いたします。

税金や保険料などの非免責債権(滞納分を含む)

税金や保険料などの支払い義務は、自己破産をしても免除されません。これらのように自己破産をしても支払義務がなくならない債権を「非免責債権」といいます。

非免責債権の一例

  • 所得税や住民税などの各種税金
  • 国民健康保険料や介護保険料
  • 故意又は重過失の損害賠償請求
  • 交通違反の罰則金
  • 婚姻費用の分担金や養育費 など

非免責債権に関しては、自己破産をしても必ず支払わなくてはなりません。ですから、自己破産の手続き中に支払ったとしても偏頗弁済には当たりません。ただし、非免責債権のなかでも一部例外があり、滞納した養育費や婚姻費用の分担金などの支払いは偏頗弁済に当たりますので注意いたしましょう。

毎月の水道光熱費

毎月発生している水道光熱費は、生活のために必要不可欠なものなので支払っても偏頗弁済には当たりません。当たり前ですが、自己破産の手続き中だからといって支払わないでいると最低限の生活ができなくなるという理由からです。

なお、滞納分の支払いに関しては法律上は偏頗弁済に当たりますが、実務上は滞納家賃と同じように滞納分も支払いを認めてもらえる可能性が高くなります。

毎月の養育費

子供の健全な成長のためにかかせない毎月の養育費の支払いも偏頗行為には当たりません。ただし、程度にもよりますが、すでに滞納していた分を支払うと偏頗弁済に当たってしまう可能性がありますので注意が必要です。

毎月のスマホやインターネットの通信料

スマホやインターネットの通信量も今は生活に必要な支出とみなされて偏頗行為には当たりません。ただし、滞納分に関しては程度にもよりますが偏頗弁済に当たる可能性がありますので注意いたしましょう。

自己破産において偏頗行為を行うリスクを解説します。

ここからは自己破産の手続きのなかで偏頗行為を行うリスクについて解説いたします。

自己破産で免責が認められなくなります。

まずは一番大きなリスクになりますが、自己破産の手続きにおいて偏頗行為は免責不許可事由に当たりますので、程度にもよりますが偏頗行為をすると自己破産が認められなくなります。

ただし、偏頗行為があったからだけで自己破産が認められなくなるということはほとんどなく、一般的には次の管財事件として扱われます。

複雑な管財事件になります。

自己破産の手続きは、大きく分けて同時廃止事件と管財事件の2種類に分けられます。偏頗行為のように免責不許可事由があると、その過程の調査が必要になりますので、破産管財人が選任される管財事件として進められてしまいます。

管財事件になると、財産を調査する破産管財人を雇うために20万円以上の費用が余分に必要になります。さらに、手間や時間も大きくかかることになります。

偏頗行為の否認として弁済したお金を破産管財人に回収されます。

偏頗弁済を行った人の中には、知人や友人のために優先して返済をしたという人もいらっしゃると思います。しかし、偏頗弁済した事実が発覚した時には、せっかく払ったお金が破産管財人に回収されてしまいます。

自己破産の手続きの中で選任された破産管財人には「否認権」という権利があり、そのお金は偏頗弁済なので、返してくださいという命令をすることが可能なんです。

破産管財人の主な仕事は、申立人の財産を調査し処分して債権者に分配することです。また、本来あるべき申立人の財産が失われるような行為があった場合には、その行為を否定して債権者に配るべき財産を取り戻す力も与えられています。この権利を破産管財人の「否認権」といいます。

偏頗行為は裁判所にバレますか?

偏頗行為がバレると大変なことになるとよく理解できたと思います。それでは、裁判所はどこまで細かく調べるのでしょうか?

財産の流れは過去まで遡って調べられるのでバレる可能性が高くなります。

自己破産を申し立てる際に、銀行の預金通帳は過去2年分の取引明細の提出が必要になります。ですから、預金通帳の中に動きがある偏頗行為に関しては基本的にバレる可能性が高くなります。

なお、手渡しや現金であっても特定の人への継続的な返済はバレる可能性があります。自己破産の手続きの中で特定の人への継続的な返済はやはり避けた方がいいでしょう。

どうでしょうか、今回のコラム「偏頗弁済とは?自己破産における偏頗弁済のリスクについて解説!」のテーマの解説は以上になります。

当コラムを運営する「自己破産ドットコム」では、借金のお悩みに関する無料相談だけでなく、今の月々の返済額がどれぐらい減額減るのかの借金減額無料診断を受け付けています。ぜひ、お気軽に当サイトの無料相談を利用して借金問題を解決していただきたいと思います。

それでは、久我山左近でした。

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