こんにちは、「自己破産ドットコム」のコラムを執筆している司法書士の久我山左近です。
借金の返済が難しくなって債務整理の手続きを検討する上で、その選択肢には読者の皆様がご存知の自己破産以外にも個人再生という方法があります。自己破産は、ご自身が所有している財産を処分する代わりにすべてを借金を帳消しにする手続きですが、個人再生は財産を処分する必要がない代わりに大幅に減額したとはいえ減額した借金を返済していく必要があります。
今回の自己破産ドットコムのコラムでは、自己破産と個人再生の手続きの違いについて、またそれぞれの手続きのメリットとデメリットについても司法書士の久我山左近が詳しく解説いたします。
今回の記事は借金で悩んでいる方にとって、とても有益な内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。
お友達登録するだけで借金がいくら減額できるかわかる!借金減額LINE診断!
自己破産と個人再生の手続きの違いを久我山左近が詳しく解説します!
自己破産と個人再生はどちらも裁判所を通す手続きですが、借金がすべて免除されるのと大きく減額されるのとでは、大きな違いがあります。
また、財産を処分されるかどうかが自己破産と個人再生の一番の大きな違いになりますが、それ以外にも資格や職業の制限を受けるなどの違いもあります。
今回の記事では、自己破産と個人再生の違いについて、またどちらを選ぶべきかを詳しく解説いたします。
自己破産と個人再生の違いをわかりやすく解説します。
ここでは、自己破産と個人再生の違いについてわかりやすく解説いたします。
自己破産 | 個人再生 | |
借金の減額 | すべての返済義務がなくなる | 約5分の1まで減額 |
財産の処分 | 20万円以上は処分対象 | 処分されない |
手続きにかかる期間 | 約4ヶ月~1年程度 | 約6ヶ月~1年程度 |
職業・資格制限 | あり | なし |
借金の原因 | 問われる | 問われない |
違いその1:返済義務が残るかどうかが違います。
自己破産と個人再生の1番の大きな違いは返済義務が残るかどうかになります。
自己破産をするとすべての借金の返済義務が免除されますが、個人再生の場合は借金の総額を約5分の1まで減額することができます、個人再生は自己破産とは違って減額した借金を原則3年間で完済していく手続きになります。
違いその2:認められるための条件が違います。
自己破産 | 個人再生 |
①支払い不能であること | ①借金総額が住宅ローン除いて5千万円以下 |
②不当な理由や悪質な行動をしていないこと | ②安定した収入があること |
自己破産の条件である「支払い不能」とは、借金を継続的に返済できない状態を指します。
なお、個人再生の場合は借金の総額が5000万円以下(住宅ローンを除く)で安定した収入があることが条件になります。
違いその3:財産を処分するかどうかが違います。
自己破産と個人再生の大きな違いは、ご自身が所有している財産を処分するかどうかになります。
自己破産は、20万円超以上の価値がある財産や99万円を超える現金があれば没収されることになります。ただし、生活に必要な家財道具、パソコン、スマホなどはお手元に残すことが可能です。
自己破産は生活再建のための手続きになりますので、生活に必要なものは問題なくお手元に残せます。なお、財産自体がなければ没収されることもありませんので、財産がない方にとっては自己破産の1番のデメリットがないということになります。
個人再生は財産自体は処分されませんが財産があると減額後の返済額が増える可能性があります。借金の総額が500万円の場合には、その5分の1である100万円まで減額できますが、財産が200万円あるケースであれば財産分の200万円分は返済しようというルールになります。
個人再生では、ご自身の財産を強制的に没収されることはありませんが、財産に応じた金額を返済する必要があるということを覚えておきましょう。
ローンが残るものはローン会社に引き揚げられます。
自動車ローンなどのローンが残るものは、自己破産や個人再生のどちらの手続きを取ってローンが返済できなくなると、対象の自動車はローン会社に引き揚げられてしまいます。
ただし、住宅ローンについては個人再生の手続きをしても、そのまま支払い続けてマイホームを維持しながら、その他の借金を整理することが可能です。この制度を「住宅ローン特則」といい個人再生を利用する1番のメリットになります。
違いその4:手続き中の制限があるかないかです。
自己破産と個人再生の違いは、手続き中にいくつかの制限があるかどうかになります。
自己破産 | ・手続き中は特定の資格を使って仕事ができない ・手続きによっては許可なく引っ越しや海外旅行に行けない ・郵便物は破産管財人が確認してから渡されます ・財産の処分や特定の相手にだけ返済はできない |
---|---|
個人再生 | ・財産の処分や特定の相手にだけ返済はできない |
この中で問題になるのは、手続き中は特定の資格や職業の方は仕事ができないということです。なお、特定の資格には弁護士、税理士、宅建士などがあり、特定の職業には保険外交員や警備員などがあります。もし、この資格や職業の制限に該当する場合は自己破産ではなく、個人再生での解決がお勧めになります。
なお、引っ越し、海外旅行、郵便物に関しては、不動産などの高額な財産を所有しているケースに限られますので、一般的な財産を持たない自己破産の手続きでは、これらの制限はありません。
違いその5:借金の原因によっては利用できません。
自己破産では、借金の原因によっては自己破産が認められない可能性があります。例えば、ギャンブルや浪費の場合は、借金が認められない「免責不許可事由」に該当するからになります。
ただし、実務的には免責不許可事由は破産法で定められていますが裁判所の裁量により、自己破産が認められることがほとんどになります。なお、この場合は破産管財人が選任されて細かいチェックを受けますので、別途裁判所に収める金額が高額になるといったデメリットがあります。
自己破産と個人再生に共通するデメリットを解説します。
自己破産と個人再生の違いについてはしっかりと理解できたと思います。ここからは自己破産と個人再生に共通するデメリットを紹介いたします。
官報に氏名と住所が載ります。
自己破産と個人再生共通のデメリットの1つは、官報に氏名と住所が掲載されてしまうことです。官報は、国が発行する機関紙のようなもので、新しく施行された法令などが掲載されています。
しかし、この部分はデメリットとは言えない程度だとわたしは考えています。とにかくこの官報を見たことがあるという話しを聞いたことがありませんし、実際に専門家である弁護士や司法書士でも官報を定期購読しているという話しは聞いたことがありませんし、実際に官報を見ているのは金融機関ぐらいだと思われます。
もし、この官報からの懸念材料になるのは、官報から破産者のデータを取ったインターネット上の破産者マップなどのWEBサイトになります。最近ではあまり話題にならないので大丈夫だと思いますが、この破産者マップの方が破産者の情報を誰かに知られる可能性があると思われます。
ブラックリストに登録されます。
これは債務整理手続きの共通のデメリットになります。債務整理をするとブラックリストに登録されますので、約5年から10年程度の期間は新たな借り入れや新たなクレジットカードの作成が出来なくなります。
もちろん、この期間が過ぎればまた新たにクレジットカードの作成が可能になります。まあ、この期間は反省もかねてご自身の生活を立て直すという意味ではいいのかもしれませんね。
保証人に迷惑がかかります。
保証人は、借金をした本人が返済できなくなった時に代わりに返済するための保険のようなものなので、当たり前ですが自己破産や個人再生をすると、借金が返済できないと判断されて保証人に対して請求が行くことになります。
また、自己破産や個人再生はすべての借金が対象になりますので、保証人が付いている借金以外にも自動車ローンがある場合には自動車はローン会社に引き揚げられてしまいます。
家族に知られる可能性があります。
自己破産や個人再生をすると、同居している家族に知られてしまう可能性があります。自己破産と個人再生はどちらも同居してる家族の収入を裁判所に報告する必要があり、その収入証明の提出を同居している家族にお願いしなければなりません。
自己破産はこんな人にお勧めです。
自己破産と個人再生の違いは理解できたと思います。ここからは自己破産はどんな人に向いてるのかを解説いたします。
収入が減ったり借金総額が大き過ぎて返済ができない方
収入に対して借金が多すぎて今後も返済が難しい、また会社の業績悪化で収入が減った方などは、自己破産がお勧めの手続きになります。この判断は相対的なもので借金が1千万円でも年収がもっとあれば返済は可能ですし、反対に借金が100万円以下でも無収入なら自己破産が可能になります。
失う財産がない方
借金の返済がまったく出来ないだけでなく、失う財産がない人は自己破産がお勧めになります。自己破産の手続きでは20万円以上の価値がある財産は没収されてしまいますが、価値ある財産がなければ処分されることもありません。
そして、実は自己破産の手続きで裁判所に収める金額についても財産がある人より財産がない人のほうがずっと安く済見ますので、財産がない方の方が自己破産に向いていると言えます。
個人再生はこんな人にお勧めです。
自己破産がどんな方に向いているかは理解できたと思いますので、ここからは個人再生がどんな人に向いているかを解説いたします。
財産を失いたくない方や持ち家を残したい方
自己破産の手続きでは20万円以上価値のある財産は没収されてしまいます。ですから、こだわりのある財産を失いたくない方や、住宅ローン付きのマイホームを残したい方人はは、個人再生がベストな選択になります。
自己破産だと資格や職業の制限にかかる方
自己破産と個人再生の違いでも解説をしましたが、自己破産の手続きが開始されると、一部の資格や職業は制限を受けてしまいます。
◾️以下が自己破産で制限を受ける資格や職業の例◾️
- 弁護士
- 公認会計士や税理士
- 宅建士警備員
- 保険外交員
- 警備員 など
もし、ご自身がこうした資格や職業に該当するのであれば自己破産ではなく個人再生を選択した方がいいでしょう。
自己破産の手続き中のみとはいえ、その仕事が出来なくなることは大きなリスクがありますので、自己破産の手続きで資格や職業の制限に該当する方は個人再生がベストな選択になります。
ギャンブルや浪費が原因でも確実に借金を減らしたい方
この部分は程度にもよりますが、借金の原因のほとんどがギャンブルや浪費の場合は自己破産の利用が難しく、個人再生を選択した方がリスクが少なくなります。
ただし、実務的には借金の原因がギャンブルや浪費の場合でも自己破産が認められる可能性が高いので、収入と借金の総額を考慮して実際に返済していくことが難しければ、当事務所のように自己破産の経験が豊富な事務所にお気軽にご相談ください。
借金を完済できる収入がある方
借金を大幅に減額された借金を3年で完済できるぐらいの安定した収入がある人は、原則としては個人再生を選択した方がいいでしょう。自己破産では今後も返済できないかどうかが重視されますので、安定した収入がある人はそもそも自己破産が難しい可能性があります。
どうでしょうか、今回のコラム「自己破産と個人再生の違いについて!それぞれのメリットとデメリット?」のテーマの解説は以上になります。
当コラムを運営する「自己破産ドットコム」では、借金のお悩みに関する無料相談だけでなく、今の月々の返済額がどれぐらい減額減るのかの借金減額無料診断を受け付けています。ぜひ、お気軽に当サイトの無料相談を利用して借金問題を解決していただきたいと思います。
それでは、久我山左近でした。